
目次
著者のロバート・チャルディーニとは
【国籍】 アメリカ
【専門】 社会心理学者
【生年月日】1945年
【学歴】ウィスコンシン大学卒
社会心理学者として、なぜ人はそのように行動してしまうのか。
なぜ人はついついいらない物まで購入してしまうのか。
人の言動には何かしらの関係があるということを着目して研究した結果をまとめた本が「影響力の武器」になります。
著者のロバート・チャルディーニ自身も昔は、セールスマンに言いくるめられてついつい色んな物を購入していました。
そこから疑問を持ち始めてこの研究に至ったそうです。
人間の日々の行動に関して、常日頃研究しているのでその行動の理由を知ることで自分が人間をある程度操作できるということです。
ちなみに宗教的な話ではないのでご安心くださいね。
あくまで人間心理の本質をついた内容になっていますのですごくためになります。
それでは内容の説明に入っていきます。
「カチッ・サー」の固定的動作パターン
「カチッ・サー」といきなりわけの分からない言葉が出てきましたが、この著書には「カチッ・サー」という言葉が沢山出てきます。
「カチッ・サー」とは、、、
「カチッ」というボタンを押すと「サー」というテープが回るように何かの要因(カチッ)で固定的な動作(サー)が行われるということです。
著書の中にこういう例があります。
動物が自分の縄張りを守ろうとする行動です。
同じ種に属する他の固定の侵入行為がきっかけとなって、警戒や威嚇、そして必要とあらば戦闘といった行動を動物は取ります。
この防衛行動を引き起こしているのは、侵入者の全身の姿ではなく、ある特定の特徴であり、信号刺激と呼ばれています。
オスのヨーロッパコマドリは、別のオスが自分の縄張りに侵入すると、オレンジ色の羽毛が生えた胸の部分だけを激しく攻撃することが、実験で明らかになっており、オレンジ色の羽毛が生えていない剥製のヨーロッパコマドリには反応せずに攻撃を加えません。
つまり、信号刺激をかい潜れば攻撃されないということです。
この信号刺激が人間にもありますね。
例えば、女性は自分の身体的魅力を異性に示し、男性も女性に対して身体的魅力を追い求めます。
男性は、自分の物質的な富を異性に示し、女性も男性に対して物質的な富を求めます。
このような人間行動の原理の1つに理由を添えると頼み事が成功しやすくなります。
例えば、図書館のコピー機の前にいる人に「すみません、2枚だけなのですが、先にコピーを取らせてもらえませんか?急いでおりまして。」とお願いすると大概の人は譲ってくれます。
これには「お願い + 理由」の効果が働いています。
しかし、これを「すみません、2枚だけなのですが、先にコピーを取らせてもらえませんか?」だけでお願いすると成功の確率が一気に減ります。
「急いでおりまして。」という理由が非常に大事になってきます。
つまり人に何かお願いする時には、「お願い + 理由」が大事になってきます。
私自身もこういう経験があります。
とある友人がお金を貸して欲しいと言ってきました。
しかもその金額が40万円です。
その際に理由として台湾でスイーツの店長として中国語を話せる日本人を探していると友人を通じて転職の話が舞い込んできたそうです。
その私の友人は、台湾に留学していたこともあり、中国語が話せますし、台湾で働いてみたいという夢もありました。
しかし、貯金がほとんどなくつい3ヶ月前に購入した美顔器の残りの支払いと荷物を実家に引越しする代金、台湾に行った1ヶ月目の生活費用がなく、転職しようか迷っているという相談でした。
しかっりとした理由がありましたし、信頼している友人だったので40万をすぐに貸してあげて無事に転職して今でもその友人は台湾でスイーツの店長として頑張っています。
私自身、お金には困っていなかったのですぐに貸せるお金があったので良かったのですが、もしいきなり理由もなく40万円を貸してほしいというお願いだけであれば貸すことはなかったでしょう。
この「お願い + 理由」が非常に大事ということです。
また、人間には下記のような「カチッ・サー」もあります。
- 「高価なもの = 良質なもの」、「安いもの = 悪いもの」
- 「専門家の言うことは、正しいに違いない」
これを聞いてあっ!!と思った方はすでにこの人間の「カチッ・サー」について理解完了ですね。
コントラストの原理で売上増加
優秀なセールスマンは下記のようなコントラストの原理を利用して売上をあげています。
あなたも下記のような経験があるかもしれません。
【1.紳士服の販売店での利用】
紳士服の販売店では、高い商品を見せてから安い商品を後から見せる。
なぜなら値段の高いスーツを買った後に、スーツよりも値段の安い小物類(ネクタイやベルト等)を見ると値段を安く感じて財布の紐が緩みやすいからです。
安い商品を見せてから高い商品を見せるとその値段が高く感じてしまうんですね。
このコントラストの原理では、日本の飲食店である「松・竹・梅」にも関係しています。
この「松・竹・梅」とレベル(値段)分けされた中で最もお客が選びやすいのはどれでしょうか。
正解は、真ん中にある「竹」になります。
松を選ぶとお金があまりない人なのだなと思われてしまいますし、梅を頼むのはちょっと高いと感じます。
そのため竹を選びやすいんですね。
これは人間の見栄とコントラストの原理が働いていますね。
【2.不動産会社の承諾誘致法】
不動産会社は、知覚のコントラストを利用して売上をあげています。
新しい客に対して住宅を見せる時に、必ず魅力のない住宅から紹介します。
つまり「当て馬物件」ですね。
紹介するリストの中に魅力のない住宅を高い価格で2つぐらい忍ばせておきます。
こうすることでリストの中にある比較的魅力のある住宅がものすごく魅力的に感じて購入に繋がるからです。
優秀なセールスマンとは、このような方法で人間心理をコントロールして売上を上げているんですね。
反報性の原理
反報性(へんぽうせい)とは、ギブ・アンド・テイクになります。
「他人がこちらに何らかの恩恵を施したら、自分は似たような形でそのお返しをしなくてはならない」というルールです。
これは皆さん、誰しもが経験があることではないでしょうか。
例えば、バレンタインデーで女性からチョコを貰ったらホワイトデーに何かしらお返しをするということ。
しかも、貰ったものよりお返しの方が金額が高くなっていたりします。
そのため、この返報性の原理はものすごい力があるんですね。
例えば、営業マンが何かミスをして謝罪に行く時でもこの返報性の原理は働きます。
営業マンがただ謝りに来るよりも何かしらのギフトを持って謝りに来たほうがスムーズに解決しますよね。
相手が「謝罪 + ギフト」という事に対して、「許す」というお返しをせざるを得なくなっています。
更に政治と企業の世界にもこの返報性の原理が働いています。
政治家と企業は、お金が切っても切れない関係になっています。
企業は、政治家に対して自分たちの企業に有利になるような法律や仕事を優先的に貰ったりするために大金(企業献金)を渡したりしていますよね。
企業側は、大金を政治家に渡してもその大金以上の見返りがあるので、政治家と企業の献金問題はいつになっても発生していますね。
このように人間は、返報性の原理に滅法弱いのです。
たまに恩を仇で返すような人もいますが・・・。
コミットメントと一貫性
人間は、ひとたび決定を下したり、ある立場を取ると自分の家からも外からもコミットメントと一貫性のある行動を撮るようになります。
これの一貫性について最もわかりやすいのが、「書初め」ではないでしょうか。
新年の初めに今年の目標を字に書いて周りの人達に発表します。
そうすると周りの人にコミットメントしたためにその目標に向かって達成しようと努力します。
会社の中でも1/4期毎に目標を決めてその目標に対してどうだったかという上司と話し合いますよね。
相手をコミットメントさせることで相手にやる気を出させる方法がとても手っ取り早いです。
さらにコミットという言葉で話題になったCMがありますね。
そう!!
ライザップです!!!
CMで「効果にコミット」という内容で爆発的な人気を得ました。
人間コミットされると弱いです。
実際にライザップは、コミットしますといいつつ応募者に対してコミットさせているんですね。
応募者自身にコミットさせることで結果的に応募者は目標に向けて頑張り、その頑張りが実際にライザップ側の結果にコミットへと繋がっていき大成功となります。
あなたも自分の目標を周囲に伝えてコミットさせることで目標を達成しましょう。
人は他人を模倣する
人間は、他人を模倣する傾向にあります。
自分の決定に自身を持てない時に何かに頼りたくなりますよね。
例えば、会議で自分の意見がその他大勢と違う時にそっちの大多数に意見を合わしてしまったりして模倣する時があるかと思います。
よほど強い思いがないと自分の意見を突き通せないと思います。
また、これはよく広告に見られます。
どこにでもいそうな普通の人が商品を推奨するCMがよく流れており、商品を普通の人に売りたいがためにそのようにしています。
また、口コミとかもそうですね。
他社が良いと言えば良いんだなと感じますし、悪いと言えば悪いと感じますね。
このようにして、人の類似性を求める本能をうまいことついて広告では購買を促しています。
類似性でよくあるのが、自分に似ている人に対しては好意を抱く傾向があります。
凄腕セールスマンがよくやることとして、相手が言ったことを反復する方法です。
ミラーリング効果といいますが、お客様が言ったことを反復することで自然と話しを聞いてくれていると感じますし、自分の言うことを賛同してくれているんだと感じます。
また、この反復により自分と似ているという風に自然と感じているのですね。
また、自分の友達を思い出して下さい。
自分に似ている人が多いはずです。
同じ趣味を持っていたり、同じ価値観だったりと自分に似ている人、
類似性の高い人を好むため人に好かれたいのであれば相手と類似性の高い人になるのが最も早いです。
希少性に惹かれる
希少性に惹かれるのは説明がいらないかもしれないですね。。。
これはよく広告で用いられる手法であり、色々なマーケティングで使われていますね。
「限定」「独占」「特別」「終了間近」というようなフレーズに対して、何かしら物を購入したことがある人はほとんどではないでしょうか。
やはり希少性がある物に対しては、いまこの時を逃したら手に入らないという作用が働いて即欠で購入してしまいます。
影響力の武器のまとめ

影響力の武器の凄さがわかりましたでしょうか。
このようにして人は色々な法則で行動することが多いことがわかります。
今回は、この本の一部のご紹介であり、更に深く理解をするのであれば絶対に影響力の武器を読むことをおすすめします。
最後にこの影響力の武器に書いてあることを活かしたセールス方法の例をお伝えします。
とあるスーパーマーケットにちょっとした試飲コーナーがありました。
1人の女の子があなたに無料の飲料を差し出しました。
その女の子はあなたに「美味しいですか?」と聞きました。
あなたは、「美味しいですか?」と聞かれた手前、「美味しいです」としか返すことができません。
「美味しい」と答えたら女の子は、4缶パックの購入を勧められました。
しかし、あなたは、購入するつもりがないと断りました。
そうすると女の子は、「1缶だけでもいかかでしょうか?」と再度勧めてきました。
それでもあなたは断ります。
更に女の子は、この飲み物がフランスからの輸入品で、ここのスーパー限定商品だと説明しました。
あなたは、このやりとりで1缶だけでも購入する可能性が非常に高いです。
このやりとりで使われている手法は沢山あります。
「一貫性の法則」
「拒否したら譲歩の法則」
「返報性の法則」
「希少性の法則」
拒否したら譲歩の法則については今回ご説明しませんでしたが、今回説明しなかった内容で役に立つことは影響力の武器には沢山書いてあります。
また、影響力の武器には例題を出して詳細に説明されていたり、実際の読者の実体験を紹介しており、影響力の武器を深く理解するには、絶対に本を読むべきだと思います。
私が紹介したのはほんの一部でかつ抜粋しただけなので深く理解するまでには至らないと思います。
より自分の知識として吸収したい方は是非お読みになって下さい。
ちなみにアマゾンレビューでもかなり高い評価を受けていたのでご紹介します。


このように沢山本を読んできた人でも絶賛しています。
本当に約3,000円では通常得られることができない情報が詰まっているので読むべきの1冊です。
それでは、この「影響力の武器」を読んであなたの人生に役立つことを祈っています。
ちなみにその知人の名前は伏せますが、日本の長者番付で毎年20位以内に入っており、一時は世界の億万長者(フォーブス)にも10位以内に入ったことがある人です。
その人は、経営者として沢山の本をこれまでに読んできましたがその方が初めにおすすめされた本が「影響力の武器-なぜ、人は動かされるのか by ロバート・チャルディーニ」
です。
そんなすごい方におすすめされた本なので今回読んでみましたが、本当に皆さんにも是非読んでほしいと思いましたので内容をご紹介したいと思います。
人の行動には理由があり、相手にこのような行動を取らせたい時に非常に役に立つ内容となっています。
私なりの感想と説明も加えて紹介致します。